函館ハリストス正教会

成聖式

函館聖堂再建成聖式(1916年10月15日)

函館聖堂再建成聖式
(1916年10月15日)

 

 1916(大正5)年10月15日付けの「函館新聞」(夕刊)に、「十年目にて鐘の響きあり

 ■臥牛山(編注、函館山のこと)の中腹を飾れる正教会 =神々しき成聖式と大十字行」の大見出しが躍った。

 

 成聖式の様子を「正教時報」(第5巻第21号)より、要約・引用してここに紹介したい。

 

〔聖堂の構造〕

 聖堂の構造は、全部レンガ造りにして堅固なる漆喰塗りの白亜となし、聖堂内外の漆喰の飾り塗りのごとき、いづれも入念の仕事をなせり。レンガは普通の所にて三枚積みなるも角の隅切りの所にては、三尺(編注、一尺=30.3cm)余の厚さに達せる部分もあり。屋根は最部厚(さいぶあつ)の亜鉛引き鉄板なるも、露国より取り寄せたる特別なる緑青色(ろくしょういろ)のペンキを塗りたれば、緑色の屋根を戴ける巍峨(ぎが)たる白亜の高楼は函館湾に入港する凡ての船舶より遠くこれを望見するを得べし。

 建築工事担当者は、東京本会の嘱託の建築家小林氏にて、工事監督は河村輔祭なり。

 

〔成聖式に参加した神品教役者及び本会の関係者〕

東 京 セルギイ主教、シメオン三井神父、ロマン千葉神父、アレキセイ澤邊神父、
     モイセイ河村輔祭、パウェル高橋輔祭、イオアン石田副輔祭、
     イオアン鈴木副輔祭、ペトル石川喜三郎(「正教時報」主筆)、
     ウェラ松本(女学校教員)、生徒一人

東 北 ペトル笹川神父(仙台)、エルミイ小野伝教者(仙台)、
     ザハリヤ浅野伝教者(一関)

北海道 ニコライ桜井神父(札幌)、イオアン大木伝教者(札幌)、
     セルギイ塩谷伝教者(小樽)、イサイヤ村木伝教者(岩見澤)、
     ポリカルプ石井伝教者(砂川)、イサイヤ関伝教者(斜古丹)、
     ワシリイ薄井神父(旭川)、ルカ薄井伝教者(旭川)、
     ワシリイ奥山伝教者(帯広)、ロマン福井神父(釧路)、
     イオアン後藤伝教者(釧路)、セラフィム湊修道輔祭(根室)、
     パウェル小川伝教者(網走)、ペトル湯村伝教者(黒松内)

 

 この中で、東京から来函した「アレキセイ澤邊神父」とは、1868年、函館で聖ニコライが洗礼した最初の日本人信徒パウェル澤邊琢磨の長男、アレキセイ澤邊悌太郎である。

 「函館新聞」(大正5年10月16日付)は、次のように書いている。

 「当日の異彩と見るべきものは、故ニコライ師を斬ろうとして、かえって最初の信者となり、後に司祭となった函館の人、澤邊琢磨氏の令息は、今度司祭の職について式に参列したのである」。

 

 10年目にして函館正教会の鐘楼から鳴り響いた鐘の音は、遠く有川(現、北斗市)まで聴こえたという。この鐘は、箱根塔ノ沢にあった正教神学校避暑館付設聖堂にあった大鐘を移したもので、1884(一説には1881)年、モスクワで鋳造された。直径、高さともに約1.5メートル、重量約2トン(一説には1,600kg)の青銅製であった。あまりの重さに鐘楼まで持ち上げるのに随分苦労したようである。現在の大鐘の重量が500kgであるから、その3~4倍の重さの鐘が、鐘楼に取り付けられていたことになる。

 

 成聖式関連の日程は、表にまとめた通りであるが、セルギイ主教ら一行が函館に到着してからの準備期間を入れて、一週間に亘ることが判る。盛大な祝賀である。地元、函館正教会としては、その何か月も前から準備体制をとっているはずであり、「正教時報」は、成聖式が滞りなく行われたことに対し、地元教会の労をねぎらっている。

 

 2016年6月26日(日)、函館正教会は「函館ハリストス正教会復活聖堂100年」を東日本主教々区の神品・信徒らと共に祝う。2016(平成28)年東日本主教々区会議(6月24日?26日/会場:函館正教会)の最終日を飾るフィナーレとなる。

 

日程 時間 奉事・行事 場所
 10月12日    セルギイ主教ら一行 函館到着 領事館に宿泊
 10月14日 09:00より 生神女庇護祭聖体礼儀 仮会堂
  夕方 晩課 仮会堂
  説教会
(小川伝教者、澤邊神父、桜井神父、三井神父)
新聖堂
10月15日 07:00より 聖水式 新聖堂
  08:00~09:30 十字行、成聖式 新聖堂
  09:30~11:30 聖体礼儀 新聖堂
  13:00 セルギイ主教主催祝賀会 五島軒
  18:00 晩課 新聖堂
  20:00 在函館ロシア領事館主催祝賀会 領事館
10月16日 09:00 聖体礼儀
(大木伝教者の舗祭)
(故大主教、シネリニコワ姉及び一般信徒のためのバニヒダ)
 新聖堂
  聖体礼儀後 函館正教会主催祝賀会 信徒控所・新役者住宅
10月17日 08:00 北海道臨時地方公会 新聖堂
  19:00 第一回講演会 信徒控所
10月18日 08:00 第二回講演会 信徒控所
  19:00 第三回講演会 信徒控所
10月19日   教役者歓迎会 湯の川・下田旅館

 

 

 

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